リトグラフ(石版画)は、特別な石の表面に水をたたえるところと、水をはじくところをこしらえて、水と油が混ざり合わないことを利用するちょっと不思議な版画です。
この技法の習得には木版画や銅版画に比べると少し込み入った化学的理解が必要です。昔気質の職人さんは手のひらの感触、耳から入る音、インク表面の見た目など感覚を研ぎ澄まして仕事をします。一般の方にとっては取っ付きにくくて、上達には時間がかかるかも知れません。そのせいではないでしょうが、だんだん制作の場や技術、機材が失われつつある状況です。この工房の開設はそういった古式と言っていいリトグラフをのちに残す試みでもあります。
いまでは珍しくなったこの版画を体験できる場所になれることを願っています。